健康四方山話~過ぎたるは及ばざるより悪し~
世の中には、” 過ぎたるは及ばざるより悪し ″ の反対の意味で ” 過ぎたるは及ばざるが如し ″ なる諺がある。体に関する限り全て題のとおりで、何事も過ぎたるは良くない。飲みすぎ、食べすぎ、仕事のしすぎ等は、全て体にとって悪い、何一つ良いことはない。
最近は、私も年をとったせいか、体のこと以外でも全てのことに関して、過ぎたるは及ばざるより悪しと思っている。
法人会の皆さんも、殆んどの方が中高齢の方々と思いますので、私と同じに思っている方が多いのかと思います。
そこで、皆さんに読んでもらいたいと思った次の一文を紹介したい。
それは、 ” 誤解しがちな体力テスト ″ という題で、 東京慈恵会医科大学名誉教授小野貫先生が書いた一文です。
体力テストで、暦年齢は50才だが体力年齢は30才という結果が出たりすると手放しで喜びたくなる。だがテストは運動など行動の場合の体力 (行動体力)であって、病気や故障に対する抵抗力、防衛体力とは違う。防衛体力まで若いわけではない。
スポーツ振興法に基いて、昭和4年に文部省が作成した「壮年体カテスト」に、そもそもの誤解の出発点がある。
垂直飛び、反復横飛び、握力、ジグザグドリブル、急歩のテスト、それぞれに1点から20点を与え合計点が多い人ほど体力年齢が優れているとした。
飛んだり跳ねたり、行動だけの体力であり、病気や故障を防ぐ項目が入っていない。また、運動後の疲労の回復力も全く入っていない。それは調べるのが大変難しいですが、子供等はすぐ回復するし、高齢の人はなかなか回復しない。
第一次大戦直後、すでにドイツのベッツナー教授が、「スポーツ選手ほど肺炎になると心臓衰弱を起こしやすく、伝染病への抵抗力が弱い」と指摘している。この事情は現在でも変わっていない。
実際最近、免疫の各種の指標があるが、ジョッキングなど運動によって、どう変化するか調べられているが、 免疫と運動能力は、別のモノのようである。
1グループを形成し、同じようなトレーニングを続ける中高年齢者が、運動を続けているうちに、免疫力がかえって低下したと判定された人が少なくないという発表がある。
長足の進歩を遂げた医学でも、 体質の本体はまだ分かっていない。 運動をすると丈夫になると信じられている骨でさえ、疲労骨折などかえって折れやすくなったりする人もいるが、この理由も分かっていない。
先の体力テストでも、体力年齢を判定する根拠になる行動体力の測定値そのものが、運動で鍛えるとかえって低下したりする人もいるという問題もある。
健康のためにスポーツを続け、少しでも何かおかしいと感じたら運動量を減らし様子をみることが大切だとつくづく感じている次第です。
…というものです。
私は、おかしくなる、変調が起こるということは、私は、体の変調を起こした自分の患者さんにも話していますが、自分の能力以上の事をした、そしてこれ以上やったら駄目だとの体からの警告だと。
という訳で、体は消耗品でうまく使えば結構長持ちしますが、(限界はありますが)変に使うと多くの品物同様すぐ駄目になります。
だから、周りを見回しても、運動能力が優れていた人が必ずしも長生きしていないし、かえって短命かと思っています。
プロ野球選手でも大リーグでは試合毎の投球数100球を目安に制限している、だから40才以上でも現役の人が結構いますが、日本では大変少ない。いても2、3人である。
殆どのスポーツ選手は猛練習をしたら、十分休まないと選手生命を縮めるし、ベテランと言われるようになったら、練習は必要ですが少なめにし、十分休養をとり、体力を出来るだけ落さないようにする、維持するように心がけるべきで、 増進させようとすると選手生命を縮めると思います。
これは、日常生活でも同じで、万事ほどほどに仕事をし、体を休める事が大切だと思います。