ステロイド
科学的にステロイド核を持つ物質をステロイドと言っています。
ホルモンは、ステロイドホルモンと非ステロイドホルモンに分けられ、ステロイドホルモンの代表は副腎皮質ホルモンです。他にステロイドホルモンは男性ホルモン女性ホルモン等があります。
副腎皮質ホルモンが登場した時は、その強烈な消炎作用から、皮膚病やリウマチなど、みな治癒してしまうのではないかと思いましたが、そうはいきませんでした。副腎皮質は人の生命を守る作用があるところで、男性より女性の方が皮質が厚いので、女性の方が長生きするといわれています。そこから分泌されるホルモンを副腎皮質ホルモンと言います。だから、出血とかショックとか痛みには女性の方が強い。お産をするせいかもしれません。種の保存のためには、そのほうが良いからだと思います。
また、人間の体はうまくできていて、ホルモンは体の中で自分で作り出すものですが、外部から与えると自分の体の中で作らなくなります。 それでも、構わず与え続けると、副腎皮質の機能が低下して投与したステロイドの分だけホルモンの分泌が少なくなるので、 気を付けて使わないと大変なことになります。
ステロイド軟膏も同じです。急性期は良いですが長く使い続けることは良くありません。医師の指示に従って使うことが肝要です。
また、ステロイドは免疫抑制作用があり、感染に弱くなります。だから、臓器移植の時に使うようになった体の拒否反応を抑える、 より強い免疫抑制剤の一番の副作用は感染症です。 次が発がん性です。という訳で効果がある薬は副作用が恐ろしいということです。
心臓移植手術を日本で初めて行った和田先生が、20年位前に宇都宮で講演した時、「良い免疫抑制剤が出来たので、今は1年生存率が1割ですが5年後には9割以上になるでしょう」と言っておりましたが、現在は殆ど全部成功するようになりました。その免疫抑制剤をリウマチに代表される自己免疫疾患(ほとんどが難病に指定されていますが)に使用すれば、すぐに良くなると思いましたが、そうはいきませんでした。
人体は、我々の考えるより複雑です。