痛みについて
痛みは、基本的に体からの “ 注意しろ ” という、その人へのメッセージです。
だから、痛みを和らげるようにするというのは体の健康を維持するための基本です。
痛みを感じない人、先天性無痛症の人が日本全国に約200人位いるそうですが、その人たちは、健康を維持することが大変で長生きする人は少ないそうです。
一寸考えてもらえば分かると思いますが、腹をこわしても痛くない。けがをしても痛くない。やけどをしても痛くなかったらどうですか。たぶん無痛症の人の子供のころは、体は常に生傷が絶えない人が多く、健康を維持することは大変だということは分かると思います。
ただ、痛みにもいろいろあって中枢神経が直接関係しないと思われるような、痛みを感じるかどうかは、私は直接、先天性無痛症の人を診たことがないので分かりませんが、多分、精神的な痛みは感じるのではないかと思いますが、 “ 痛み ” という感覚が分からないので、別の感じ方をするのかも知れません。
痛みは、誰でも分かっていると思いがちですが、国際疼痛学会の定義は、 “ 実際に組織損傷が起こったか、あるいは、組織損傷の可能性がある時、またはそのような損傷を表す言葉によって述べられる不快な感覚と情動体験 ” とあります。
私が読んでも、良く分かりません。 ただ、皆さんが痛いと思う事を正確?に言うとこうなるのだと思います。
次に、痛みの種類について述べますと、学会では侵害受容性疼痛(侵害受容器が活性化することにより起こされる疼痛)、外傷、打撲等。神経障害性疼痛(体性感覚に対する損傷やそれに伴う機能異常による疼痛)、末梢性帯状疱疹、神経痛、坐骨神経痛等。それから両者の混合型、脊髄管狭窄症、術後疼痛、骨転移等があると言っています。
また、痛み、疼痛の違いは、
痛=疒+甬(甬=通)
で、体を突き抜けるような痛み
疼=疒+冬
で、うずく、ずきずきする痛み
疼痛=ずきずきする痛み、うずき
とあります。
私は、痛みの種類は
①障害受容性疼痛
②経障害性疼痛
③心因性疼痛
④混合型
があると思います。
また皆さん方が痛みを感じた時、一番大切な医師に対するメッセージは、自発痛か可動痛か(じっとしていても痛いか、動くと痛いか)、どこが痛いか、いつから痛いか、痛みの原因が思い当たるか、どのように始まったか(突然か、いつの間にかか)、どのように痛むか、どの程度の痛みか、どのように変化しているか等です。
これらは、診療側が治療上、大変役立ちます。