アレルギー
辞書には、生体の異常反応とか異常体質の人に起こると書いてありますが、良く分かって いません。ただ、生体の防御反応が異常に強く反応して守ろうとするホスト(生体)に迷惑をかけるのをアレルギー反応と言っています。場合によっては死ぬことまであります。決して、いわゆる異常体質と言われている人だけが、アレルギーを起こすわけではなく、だれでも運悪くアレルギー反応を起こすとされるアレルゲンに遭遇したら、重篤なアレルギー反応を起こします。
親子兄弟では顔形が似るように、体質は遺伝するので、親子兄弟でアレルギー反応を起こす人が多いと自分も起こりやすいという事です。
最近、学校給食での食物アレルギー、花粉アレルギーと、話題になっていますが、昔から花粉アレルギーも食物アレルギーもありました。
しかし、現在のように多くはなかった。ましてや死ぬような重篤なアレルギーは非常に少なかった。
最近は、なぜ多くなったかと言いますと、余りに生活がきれい(清潔)になったからであります。
我々の周囲を見回しても味噌・醤油等のビンのカビ、モチのカビなど、最近は殆ど見なくなった。また、食物も賞味期限等が厳格になり、殆ど腐ったものを口にしなくなった。そのため昔は少々腐ったものを食べても、なんでもなかったのが、最近はそうでなくなり食中毒や他のアレルゲンに対しての反応が強くなり、アレルギー性の病気になりやすくなったわけです。また、昔は、細菌学的には不潔だったので、子供は皆、鼻を垂らしていたし汚かった。そのとき、知らず知らずの中に、アレルゲンに対する脱感作(アレルギーの治療法の一つ)が起こっていて、反応しなくなった。これは漆職人が漆にかぶれなくなるとか、養蜂家がハチに刺されても大丈夫になるのと同じです。
また、寄生虫が抗アレルギー作用の物質を生体に出しているのが分かり、最近は集団で駆虫薬を飲ませることにより、寄生虫を持っている子供がほとんどいなくなったので、昔より子供のアレルギーが多くなった。また、成人にも、杉花粉症等は車の排気ガスと結びついて、より強いアレルゲンとなり多くの患者を生んできた。だから栃木県で杉花粉の一番多いと思われている日光の山久保地区は、必ずしも、花粉アレルギーの患者さんは多くありません。 衛生的できれいな生活をするようになったことは大変良いことで、そのおかげで乳幼児死亡率も下がり、皆長生きできるようになった訳ですが、それにより新たに増えた病気の一つがアレルギー疾患と考えてください。
生体の仕組みは結構複雑で、生存競争に生き残るために出てきた仕組みが、返って生体に迷惑をかけている一つがアレルギーです。