みらい在宅医療総合クリニック水戸

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肥満

 肥満は現在一般に健康を維持するにあたって悪の根源のように言われていますが、そんな に悪いのでしょうか。
 太り過ぎはやせ過ぎと同様悪いですが、酒と同じく皆さんが考えているほど、私は肥満が悪いとは思っていません。
 私も若いころ、大学病院に勤務していた時に、小児科の先生と共同で子供の肥満について調査しました。結局は大学紛争で頓挫して止めましたが、この目的は心肺機能と運動能力が正常であれば体系は問題ないというものでした。確かめることはできませんでしたが。
 また、宇都宮に戻ってから自治医大で同様の調査をしようとしましたが、大学の外来に来る患者さんで肥満の人には運動ができるよな人がいなくて駄目でした。
 しかし、大相撲の診療所の先生の幕内力士の健康診断の報告を聞いたことがありますが、検査データは驚くほど良好で、軽い糖尿病の人はいましたが、あとはほとんどすべて正常に近く、そうでない人は幕内に上るまでにドロップアウトしてしまうのではないかと言っていました。今、一般に言われている肥満指数(BMI)を除いてですが。
 BMIは「体重(kg)÷身長2」で、身長2メートル体重100kgの人は、「100÷4(2×2)=25」BMIは25という事です。
 この指数は、一番良いのは22~24位と言われており、2以上は病的肥満と言われていますが、プロ野球選手や競輪選手の小柄な運動選手はほとんど病的肥満になってしまいます。因みに、私もBMI28で病的肥満の仲間に入っていますが、健康には全く問題ありません。
 先日、私の妻の太り気味の友人が「一寸飛び跳ねたらキクッといって膝を痛めた」と来院しました。ダイエットのために急に運動を始めたらしいのです。
 ダイエットのための運動は大変です。半端な運動では体重を減らすことはできません。食事を減らさなければ駄目です。
 ほどほどに運動することは絶対必要ですが、一番良いのは動くことです。歩くこと、坂道や階段の登り降りをゆっくりすることです。これは、エネルギーは余り消費しませんので体重は減りませんが、基礎代謝を下げません。中年以上の女の人で“水を飲んでも太ってしまう”という人がいますが、殆ど食べなくても動かないといけません。山で遭難した時、「動くな。動くな。」と言うのは、太古の昔、避難して動けなくなったとき、水さえあればかなり生き延びたのは、基礎代謝が下がるからで、それで長持ちするという事です。すなわち、体が食事を摂らないで動かないと、維持させるために体が反応してエネルギーの消費を最小限にするために、なかなか痩せないということになります。 (基礎代謝とは体を維持するための最小限のエネルギーで、私が学生の頃、基礎代謝は、1350mlと習いましたが、この何分の一かで済むのではないかと思っています。いくら食べても太らない人は基本的に基礎代謝が多く、すぐ太る人は基礎代謝が少ないと考えてください。)
 という訳で普通の人は、食事を減らさないで運動して痩せることは大変難しいと思います。 私は、今薬を飲んでいますかと聞きましたら、「今、何も飲んでいません」との答えだったので、「今、何も問題なければ今の状態が健康で、これ以上太らないようにすれば良い。わざわざ何かする必要はない。これ以上太らないようにしてください。そうすれば、長い間に少しずつやせます。」と言いました。
 現在治療している病気がない人は、自覚症状がなければ、今の状態を健康と考えて余計なことを一切しなくて、“これ以上太らない”という事を堅持することでよろしいかと思っております。
 因みに、私は身長162cm体重75kgでBMIは28.5位です。 何か具合の悪い自覚症状はありませんし、運動能力も年齢に比して普通と思っております。

医療法人社団 医宝会
理事長  宝住 与一