みらい在宅医療総合クリニック水戸

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健康について

皆さん健康とはどういうものか考えたことがありますか。 巷には、健康に関する情報が氾濫しております。そこで、皆さんに健康とは、次に病気とはどういうものか考えてもらいたいと思います。
 このどちらもなかなか適切な答えはない。本にも何処にも書いてない。書いてあっても、意味不明と思います。WHOの健康の定義は、 ” 単に病気が無いだけでなく精神的、社会的、経済的に安定した状態 ” とある。病気に至っては定義すらない。
 私はWHOの定義に当てはまる健康な人は世界中に一人もいないと思っている。
 もともと病気の人、身障者、慢性疾患の患者さんには健康はないのかと考えると、その人それぞれに健康な状態があると思っている。
 普通の人は、仕事の出来る状態、子どもは学校に行ける・遊びに行ける状態を健康と思っているし、慢性疾患がある人、腎疾患で透析を受けている人それぞれの人にとって、小康状態の時を健康と考えるしかないと思っている。 則ち現在の状態を基準に決めて、それより良くなるか悪くなるかで健康状態の善し悪しを判断するしかないと思っている。
 病気については、読んで字のごとく病(不愉快な)気(状態)の意味だと思っている。気に病む等で不愉快、雰囲気の気で状態の意味であります。これは、ドイツ語 Krank-heit(不愉快な状態)、フランス語 maladie’、英語 diseaseで全て不愉快な状態の意味で、これが病気と考えると分かりやすいのですが、これが当てはまらないのがある。ボケ(認知症)です。これは、本人は全く苦し、辛くも無い。周囲は困りますが本人は全く困らない。これだけは、前述の病気の意味にはまらない訳であります。
 私の友人で現在も精神科医をしていますが、彼が若い頃、まだボケに対する薬が無い頃(現在はあります。余り効きませんが、進行を遅らせる効果はあります)、「もしボケが治る薬が出来たとしても、私はそれを使いたくない。ボケは年をとってもう先が永くない時、死の恐怖から逃れる為、人間関係の嫌なしがらみや、それらに全く関心のない状態で、本人にとってはハッピーな状態なので」と言うようなことをいっておりました。
 私もなるほどと思い、何かの際、挨拶で皆の前で話したら ” ボケ ” を抱えている家族にとっては大変なことなので、そんな事言うなと言われ、それから言わない事にしていますが。
 最後は皆さん方が健康を害しない事は自分に正直になる事。
 いつもと違うことが一度あったら、黄色信号。 二度あったら、赤信号。 三度あったら医師にかかりなさいという事です。
 他人に言う必要はありませんし、よく具合が悪くなった時、医師にかかって何でもなかったから大丈夫と言う人がいますが、それは検査し異常が無かっただけで、再度、前と同じ事をすれば、同じように具合が悪くなること間違いないし、検査で大丈夫ということは、たいしたことなく治療するほど悪くないということだけで、何でもない事ではありません。自覚症状があるときは絶対体に気をつけてください。
 私の後輩で、今学校の先生をしている男が「体の調子が悪いのですが、医療機関で検査をしても、なんともないと言われた。どうしたらいいんでしょうか。」と言ってきた。私は「自覚症状があるのなら、具合が悪いのだろう。検査データなんて学校の成績みたいなものだ。あてになるか。」と言いましたところ、納得していました。

医療法人社団 医宝会
理事長  宝住 与一